2007年5月14日月曜日

ラテン語


公立の学校では殆ど勉強することのないラテン語ですが、私立の学校ではいまだにかなり重要な位置を占めています。
桃太郎君は過去2年間このラテン語を勉強しましたが、とうとうこの9月からラテン語を落としてフランス語を勉強することに決めました。
私としてはラテン語を続けて欲しいのですが、やっぱり彼の希望を尊重したいので、残念ですがラテン語とはさようならです。
毎日の宿題に出てきたカイキリアス(ラテン語の教科書に出てくるポンペイの人)の人生にもさようなら、ということで少し寂しい気がします。
イギリスは約2000年前にローマの人たちが植民地を広げに来ました。この人たちが使っていたのがラテン語です。
いまだにイギリスでは3音節以上の言葉の殆どはラテン語が基本になっています。
ユーモアが理解してもらえるイギリスの学校で「ローマ帝国の繁栄の理由を挙げよ」と聞かれた生徒がにっこり笑って「ラテン語を外国語として勉強する時間が必要なかったからです。」と答えて及第点をもらったという話があります。
桃太郎君はラテン語、ギリシャ語、ロシア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語から2ヶ国語を選ばなければいけないのですが、既にスペイン語を2年やっているので、スペイン語に加えてフランス語の選択となったわけです。

ラテン語は持って回った言い回しが多くて、ストレートな英語に慣れている耳には、もっと簡単に言えばいいのに、と思うことがしばしばです。
例えばラテン語にはYesという言葉はありません。
じゃあ何て言うかっていうといろんな言い方がありますが、「Hoc ille」もそんなひとつ。
直訳すると「これはそう」って感じです。
ところがヨーロッパの北に住んでいる野蛮なゲール人は面倒がって「O’il」と略していました。
これを発音するとウィ、つまりフランスのYesです。西のヨーロッパ人はもっと面倒がって「Oc」と略しました。
今でも北フランスの方に残るOil語や南西にある地名ラングドックLangue d' oc(Oc語を使う場所)というのは皆このラテン語のYesから来ているわけです。

1066年にノルマンディーからウイリアム征服王がやって来た時に、貴族たちも北フランスから来て、この国の上流階級の言葉がラテン語になりました。
いまだに貴族の家訓や昔の書物にはラテン語がたくさん使われています。
弁護士やお医者様になるには必要なラテン語ですが、一般の人にとってはあまり関係がない言葉かもしれません。
でも色々な言葉の語源になっているので教養という意味では面白い言葉なんですけどね。
私は語源学(Etymology)が好きなので特別そう思うのかもしれません。

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