2007年5月14日月曜日

マスターオブワイン


お友達のべブはMWの資格を持っています。
これはマスターオブワインの略で、ワイン関係の資格の中では最高峰です。
よくワインの好きな人がソムリエの資格を持っていたりしますが、それよりも格段難しいものです。
イギリスは今でもかなりの階級社会なのですが、個人の資格や学歴をかなり大切に考えています。
大学を出るとBA(バチュラーオブアート)さらにMA(修士号)、Dr(博士号)また所属している専門などがずらりと名刺の肩書きに加えられます。
ウェイトローズのワイン売り場に行くと、「当社のワインの買い付けは、3人いるお抱えのMWが担当しています」と書かれています。
べブはウェイトローズで働いているわけではないのですが、ワインの買い付けが仕事です。
毎月20日は海外に出ているのですが、意外にワインは好きではありません。
食べ物にも興味がないらしく、晩御飯がサンドウィッチでも平気といいます。
お台所はとってもきれいで、「きっと料理なんかしたことないんだろうなあ」と行くたびに実感します。
今日はべブのおうちでワインのテイスティングをしました。
Sancerreという、ロワールのワインが4種類、このうちの1本を選ばなければいけないそうです。
ワインの味や値段だけではなく、プレゼンテーションや産量、他にも英国で輸入している会社があるかどうかなど、色々な要素を考えてから選ばれた4種類です。
一人ではブラインド・テイスティング(どのワインかを知らずに試飲すること)が出来ないので、まあお手伝いです。
4つのグラスに少しずつワインを入れて、ひとつひとつ試していきます。
「ミキはドウ思う?」
ドウっていわれてもねえ・・・。
ちゃんとワインの教育を受けていないのでMWに向ってどうこう言える身分ではないんだけど。
「ワイン1はノーズがきれいだし、味はシャープ。後味はべたつかない程度にフルーツが残って、サンセーらしいと思うけど。」と遠慮がちに言って見ました。
「そうねえ、私には香りは全く無いようなんだけど。」
「エーッそうかなあ?ちゃんとするよ、ミネラルの香り。この部屋の花の香りで難しいんじゃない?こっちにきてみれば?」
べブは私の開けたフレンチウィンドウまでやって来ました。
「そうねえ、言われてみればちゃんと香りがあるわねえ。」
こんな調子で4種類のワインを次々試していったのですが、べブって結構優柔不断。
彼女が好きな順はワイン4、ワイン2、ワイン1、ワイン3です。
私はワイン1、ワイン4、ワイン2、ワイン3。
強気で主張すると、「そうねえ、1も悪くないわねえ」
口にしたワインは飲まずに吐き出します。
飲んでしまうと味覚が鈍くなるのが吐き出す理由です。
べブは平気で用意してあるポットに吐きますが、ワインの好きな私は好きな味だと飲んでしまいます。
1と4ばっかり飲んでいるのをべブも気が付いたみたい。
ボトルを開けたすぐよりは、2のワインは味が開いてきたようだけど、やっぱり繊細さには欠ける様。
サンセーはソーヴィニヨンという葡萄で作られています。
同じ葡萄でもニュージーランドなどで作られたものに比べると香りや味が繊細で、少しだけミネラルの香りが含まれます。
結局1のワインが一番いいということで落ち着きました。
「じゃあ、これを買うことにするわ。」
3000ケースの注文は翌週に出すそう。
そんな大事なテイスティングだったのね・・・。
このワインはレストランでは35ポンドぐらいで売られるはずです。

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