2007年5月1日火曜日

大英図書館のイヴェント


お仕事の資料を集めに大英図書館へ行って来ました。
以前は大英博物館の中だったのですが、今では独立してセントパンクラス駅の西側にあります。
新しい建物なので設備もよく、車椅子の利用やコンピューターの利用も考えられて設計されています。
入ってすぐ左側が特別展示の部屋。
4月27日から9月23日まで(2007年)「Sacred」というタイトルの展示が行われています。
無料なんですが入場制限のためのチケットがあります。
脇の受付で受け取ってから入場します。
この展示はユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教の共通点を見つめることでお互いの誤解や偏見をなくすという目的があります。
全く違う宗教だと思っている方が日本には多いのですが、実は同じ場所から生まれた宗教です。
イギリスは都市部はかなりコスモポリタンで、あらゆる国籍や宗教の人たちがいます。
お互いを理解して生活するのはとても大切なことです。
英国国教会はCoEと略されて日本では聖公会と訳されているみたい。
うちの家族はこれです。でも教会に行くのは1年に2-3回。


超簡単にダイジェストすると;
周りを強国に囲まれたユダヤ人が自分たちのアイデンティティーを守るために創ったのが聖書(ヘブライ聖書・旧約のこと)とユダヤ教。
その当時の衛生状況も考えて、食べ物の規定や病人の扱いなど、汚れているかそうでないかの規定が厳しい。
他国人との区別も重要で、厳しい法律のおかげで今でもユダヤ人のアイデンティティーはかなり確立している。
離散したことで主流の派と小さなセクトに分かれる。

あまりに厳しいユダヤの生活の規定を守れない人たちのもとで「法律よりも神様を信じなさい」といったのがイエス。
彼が聖書(旧約)の中に出てきたメシア(救世主・キリスト)だと考える人たちから始まったのがキリスト教。
旧約に加えてイエスの伝記と使徒たちの伝記、手紙などをまとめたものが新約聖書。
あくまでも旧約聖書がおおもとの信仰の拠所なので、処女のマリアから生まれたはずのイエスなのに、関係のないお父さんのヨセフの家系はタヴィデの直系などの矛盾も。
奇跡を期待したり、聖人信仰が盛んで多神教のような面もある。
長い歴史の中で地方性や新解釈もあってたくさんの宗派に分かれる。

そこでモーゼ(ユダヤ教の預言者の一人)やイエスをこの世に送った神様一人を信仰するという、基本に立ち返ろうというのがイスラム教。旧約聖書は背景に置いて、神様から直接言葉をもらったムハンマド(モハメットと呼ぶときも)の記した行動の定めがコーラン。聖人信仰などに流れないように、人や動物の絵は一切禁止なので書道が盛ん。生活の規定などはユダヤ教に似ているところもあるが、政治的には第2次世界大戦のあとのイスラエル建国のおかげで対立している。
ごく一部のテロリストたちのために誤解されやすい宗教。

この特別展示では聖書やコーランなどの資料を基に理解を深めようといったスタンスでした。
かなり灯りを落として神妙な部屋に仕上がっていました。
写真は一切禁止ですがカタログの購入が可能です。
美しい絵のたくさん入った聖書や、逆にカリギュラフィー(書道)のみの厳粛なコーランなどがたくさん展示されています。
www.bl.uk/sacred
どうぞお出かけください。

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