2009年11月7日土曜日

シングルモルト・スコッチ

先日面白いお仕事をしました。
「パブでイギリスの文化についてトークをして欲しい」といったリクエストです。
お客様がディナーを召し上がっている時に、飲み物の話しやパブの話しなどに絡めて、ウイスキーの試飲もアレンジしました。

私は強いお酒は一切飲まないので、実はウイスキーも口にしないのですが、基本的な知識はあるので、一般的なお話だけなら問題はありません。

「ディナーをアレンジしたパブに置いてあるウイスキー」という、限られた種類からのチョイスなので、もちろん他にもお勧めはあるのですが、今回は「素人にもわかりやすい」というのもテーマだったので、なるべく違いがわかりやすいシングルモルトを2種類選びました。

シングルモルトウイスキーは世界で3つの国でしか作っていません。
その殆どがスコットランド、加えてアイルランド、日本です。

ウイスキーの作り方を簡単に説明します。
まず大麦に水を加えて発芽させます。
この時に糖分ができて発酵時の栄養になります。
でも芽が育ってしまうと、せっかくの糖分が使われて、なくなってしまうので、丁度いい頃合いを見計らって
乾燥させます。
その際にスコットランドでは泥炭(ピート)などを使うので独特の香りが出るそうです。
こうして出来上がったものをモルトといいます。
次にこのモルトを臼でひいて、水を加えて濾します。
そして時間がたつと、そのモルト入りの水が発酵します。
そしてそれを加熱すると、アルコールの方が沸騰点が水よりも低いので、先に蒸気になります。
お鍋の上から煙突が出ているようなものを使うのですが、長さや形はそれぞれの蒸留所で違います。
その蒸気を集めて、冷えた液体がウイスキー。

ウイスキーの名前ですが、ヨーロッパではラテン語で、蒸留酒のことを「命の水(aqua vitae)」とよびました。
普通は葡萄から作りました。
フランス語では「eau de vie」といいます。
ワインの産地に行くと、横に透明なお酒が並んでいて、「eau de vie」と書いてあるのを見たことがあるかもしれません。

この「命の水」のゲール語が「uisge beatha」
葡萄は作っていないので、オオムギが材料になりました。
それを聞いたイギリス人が「uishgi」と聞いて、ウイスキーという発音になったそうです。

シングルモルトというのは、モルト以外の素材を使っていないということに併せて、一箇所の蒸留所で作った、という意味があります。
スコッチというのはスコットランド製、ということなので、アイルランドや日本のものは「シングルモルトスコッチ」ではなく、「シングルモルト・ウイスキー」とよばれます。
たまに、ピュア・モルト(pure malt )と書いてあるものがありますが、それは「シングルモルト」ではありません。
「モルトを使っているけれど、幾つかの蒸留所で作られたウイスキーを混ぜたもの」という意味です。

上の二つのシングルモルトスコッチは、左が「ラフロイグ」右が「グレンモランジー」です。
ラフロイグは日本の人にいわせると、「正露丸の匂い」
すごく癖があるので、大好きな人と大嫌いな人にはっきり分かれます。
チャールズ皇太子の御用達の紋章付き(笑)
スコットランドの小さな島の、磯の香りのする場所で熟成されました。
グレンモランジーは有名なスペイサイドで造られました。
どちらかというと正統派、まろやかで、そんなにクセはありません。
ここの蒸留釜はスコットランドで一番の背高ノッポです。
蒸留釜というのは、とっても大切なパーツで、古くなってしまって新しいものを作る時には、前のものと同じ材料、サイズ、しかも凹みなどの特徴もそのまま再生するそうです。

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