2010年5月21日金曜日

グローブ座


昨日、お友達と、シェークスピアを楽しんできました。

シェークスピアが生まれたのは1564年、亡くなったのは1616年ですから、日本では戦国時代から江戸時代の初め頃。
1616年には徳川家康も亡くなっています。

イギリスではこの時代、娯楽といえば動物を戦わせてお金を賭けたり、観劇といった程度。
今のように、エンタテイメントが溢れている時代からは、想像も出来ない暮らしだったのです。
そこでどの劇場も大変に混みあいました。
庶民から貴族まで、たくさんの人が劇場に詰め掛けましたから、事故も多く、火事などで大惨事になることも稀ではありませんでした。

ロンドンではそういったことも考えて、大きな劇場はロンドンのすぐ外側に建てられました。
その頃の建物は木骨造りと呼ばれて、木と漆喰に茅葺です。
燃えやすい材料で出来ていました。

シェークスピアが株主だったことでも知られるグローブ座も、テムズの南、サザーク地区に建っていましたが、残念ながら火事のために失われてしまいました。
そのグローブ座を「シェークスピアの時代のまま再現しよう」というアイディアが生まれて、なんとその時代のお芝居を楽しむこともできるようになったのです。

この劇場には2通りの席があります。
ひとつは平土間で立ってみる席。
これは庶民が楽しんだ観劇方法です。
舞台の高さは、立っている人のあごの辺り。
席割りはありませんし、ウロウロしたって大丈夫。
でも雨が降っても屋根はありませんし、傘をさすことは出来ません。
もうひとつは舞台をぐるりと見下ろすように作られた桟敷席。

私たちは桟敷席でヘンリー8世を楽しみました。

ヘンリー8世はシェークスピアの書いた最後の作品です。
ローマや宗教の圧力から英国を独立させて、英知を持ってこの国を治めた彼に、未来の偉大な女王エリザベスが生まれて、その洗礼式で幕となります。
さすがエリザベス女王の時代に活躍した劇作家。
でもこの作品を最後に、劇作家をリタイアしたってことは、何か思うところがあったのかも。
シェイクスピアは、潔く華やかなロンドンを去って、故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンに隠居します。


この写真の一番左下に、立ち見の人が見えるでしょう?
こんな風に舞台のすぐ横で観劇を楽しむことができるのです。

正直なところ、英語がわかって、なおかつ主要な登場人物のバックグラウンドがわからないと、この作品を楽しむのは難しいかもしれません。
初めてシェークスピア、という方はもう少し軽めの作品か、よく知られたストーリー物がお勧めです。
でもグローブ座での観劇は、他のどの劇場でも味わえない雰囲気がありますから、ぜひ一度お越しください。

グローブ座


ところで日本の千葉県に、シェークスピア関係の建物を再現したテーマパークがあるのはご存知ですか?
本当にそっくりに作ってあるそうです。
私は日本のものは見たことがないのですが、写真を見てびっくりしました。
ずっと以前、そのテーマパーク関係の方を、ストラットフォードにご案内差し上げたことがあって、その時にその存在を知りました。
名前を忘れてしまっていたのですが、さっき検索したら、ちゃんと出てきました。
グーグルって本当に便利(笑)
ローズマリーの里、円山町

6 件のコメント:

rottenmeier さんのコメント...

ストラッドフォードでRSCの舞台を見ました。ウィンザーの陽気な女房たちでしたか。グローブ座、行ってみたいなあ。十二夜が見たいです。
ストーリーを知らないと、オリジナル言語の劇はつらいです。ミュージカルもストーリーを知っておいたほうが楽しめます。オペラは事前にストーリーとアリアぐらいは勉強しておかないとついていけません。舞台は何であれ好きなので、下準備も面倒くさくはないんですが。

nao さんのコメント...

はじめまして。英語の書籍を翻訳している者です。元軍人さんが書いた本に出てくるPoppy Appealを調べているうちに、こちらのブログにたどり着きました。どのページもわかりやすい説明で、オンライン上でガイドしていただいている気分で拝読しました!
また寄らせていただきますね。

Yogacat さんのコメント...

わぁ~、雰囲気たっぷりのグローブ座ですね!
当時と同じスタイルの野外(一部)劇場でシェークスピア観劇ができるなんてステキ♪ 次回イギリスへ行く時はぜひ寄りたいと思います。(いつ?) 
ウェブサイトには上演スケジュールとか載ってますよね。ちぇき、チェッキ~。

miki bartley さんのコメント...

ロッテンマイヤーさん、こんにちは。
ストラットフォードは本場ですよね。
私も十二夜が大好きです。
ステキな台詞がたくさん出てきますよね。
ヘンリー8世も含めて、歴史ものってどの程度、庶民が理解したかなんて考えると、興味深いです。
この作品では、ウルジーが悪役ってカンジで、はまってましたし、一人目のお妃さま、キャサリンオブアラゴンもこんな人とは離婚したいだろうなーって思わせる配役でした。
舞台と一体感があるという意味ではグローブ座、本当にお勧めです。
でもここで演劇が楽しめるのは暖かい季節だけです。

miki bartley さんのコメント...

naoさん、はじめまして。
翻訳のお仕事って面白そうですね。
書籍の翻訳はやったことがありませんが、ごくたまに翻訳の仕事をすると、奥が深いなぁって思います。
イギリスのこと、これからもたくさん書いていきますから、またお越しください。

miki bartley さんのコメント...

マダム、お久しぶり!!
お元気ですか?
最近ペーパーワークに追われて、なかなかブログを楽しむ時間がありません。
マダムのところにもお邪魔したいのですが。

グローブ座もそうですが、イギリス人って舞台と一体感のあるものが好きみたいです。
クリスマス前のパントマイムなんかもそうだし、討論番組とかもいっぱいあるし。

この劇場は立ち見が面白いかも。
ただ体力があれば、ですけどね。
楽したければ桟敷。
本当に、他では味わえないと思います。
次回(いつ?)ぜひどうぞ(笑)