2015年11月10日火曜日

イギリスの高齢化や貧困

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11月の前半はお仕事で北イングランドを訪れていました。

日本の皆さんが北イングランドを想像すると
「ピーターラビットの住んでいる湖水地方」ってカンジでしょうか?

湖水地方はイギリスの北西に位置しています。
山や湖があって、美しい国立公園があります。

私が訪れたのは北東部。
炭坑や造船業などで昔栄えた地方。
現在ではそういった産業が衰えてしまった地域です。

以前は典型的な労働者の生活が見られました。
男性が働いて奥さんと子供を養うといった図式です。

その後公共セクター(税務署など)や民間のコールセンターなどが主な雇用主となりました。
そうなるとスキルの高くない雇用が多くなって、それほどの収入が望めなくなります。
また、男性よりも女性の雇用が増えて、家庭の構造が変化します。

それでも雇用があっただけまだまし。

コールセンターは国内の安い地域から国外の更に安い地域へと移転。
また公共セクターも財政の縮小で雇用が減少しています。

そこで貧困家庭が多いのがこの地域の特徴なのです。

もちろん貧困家庭というのはその国によって違います。
イギリスの貧困家庭はアジアやアフリカの一部の地域と同じレベルではありません。

イギリスで貧困家庭というのは、家庭収入の中央値に比べて60%以下の収入しかない家庭を指します。
実は視察先の一つで「イギリスでは平均の2/3以下の収入が貧困の定義」というお話があって、参加されていたお客様から日本の場合は平均の半分以下ということを伺いました。
ブログに書くのでちょっと調べたら、イギリスでは60%という数字が出てきました。
やっぱり聞いた話をそのまま書かずに自分でも調べる必要がありそう。


こういった貧困地域では様々な問題を抱えています。
ひとつはティーンエイジャーの問題があります。
親は一緒に住まわせて養うことができないし、本人が独立する資金もないのです。
問題を抱えた家庭の子供は成績も悪く、進学率が低くなりがち。
就労の競争率は高いので、そのような若者が職を得るのは大変難しいそうです。
イギリスの北東部では、地域によっては40%以上の失業率を記録する場所もあるそう。

また高齢者の問題もあります。
日本と同じようにイギリスも高齢化が進んでいます。
イギリスの北東部のサンダーランド市では高齢者(65歳以上)の割合が18.8%。
因みにロンドンでは約11%、マンチェスター9.6%、バーミンガム13.1%
2015年の数字です。
この65歳以上の人たちが、イギリスの国民健康保険(NHS)利用者の2/3を占めています。
また、2014年の統計では、英国の認知症の人の数が850,000(推定)、そのうち65歳以上の人は
773,502 人ということで91%が高齢者が占める結果になっています。
2014年のこの国の人口は6400万人だったので、その1.3%は認知症。
認知症の人たちが安心して暮らすことのできる住宅は大変高価です。

そこで、こういった地域では若者の就労支援や高齢者のためのケアなどの社会的企業などが大きな役割を果たしています。
更に貧困地域での問題は、3世代にわたって就労することなく政府からの手当てで生活するのが当たり前だと思っている人たちがいること。
この世代をベネフィット世代と呼んでいます。
働いて収入を得るという常識が欠如している人たち。

就労支援は単に職業のポストを紹介するだけではなく、職業に就く必要性を説くことから始めないといけないそうです。
そういった社会的企業は地方自治体からの補助が減少しているので、財源を確保するのが年々難しくなってきています。
機会を見て、こういった地域の社会的企業のいくつかを紹介できたらいいなぁと思っています。




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